先日、事務所に親戚の叔父さん(77歳)が訪ねてきました。遺言を自分で書きたいのだけど・・・という相談です。
そろそろ人生の「終活」も考えなくてはならなくなってきた。ついては、遺言書を自分で書きたいのだけど、どういう所に注意して書けばいいのか教えてくれないか?
先生
叔父さんはまだ元気だけど、突然のアクシデントがないとは限らないものね。
じゃあ、自分で書く遺言書について説明するね。
遺言書と一口に言っても、その形式は多岐にわたりますが、中でも「自筆証書遺言」は、その手軽さから多くの方に選ばれています。しかし、自筆証書遺言にはメリットとデメリットが存在し、適切に書かれていないと無効になるリスクもあります。ここでは、自筆証書遺言の基本的な書き方と注意点を解説します。
自筆証書遺言のメリット
- 手軽さ: 専門家を介さず、自分の手で書けるため、気軽に遺言を残すことができます。
- プライバシー: 自分だけの秘密で遺言を書くことができ、内容を他人に知られることなく遺言を残せます。
- コスト: 公証人や公証役場などに依頼することなく、コストを抑えて遺言を作成できます。
自筆証書遺言のデメリット
- 無効のリスク: 書き方に誤りがあると、遺言が無効となる可能性があります。
- 保管の問題: 自分で保管する必要があり、紛失や破損、改ざんのリスクが伴います。(法務局の自筆証書遺言書保管制度というものもあります。詳しくはこちら)
- 遺留分の問題: 遺留分に関する規定を誤解していると、後で争いの原因になることがあります。
書き方の基本と注意点
基本的な書き方:
- 全文を自筆で: 遺言の全文は自分の手で書かなければなりません。
- 日付の記載: 遺言を書いた日付を明記する必要があります。
- 署名、押印: 自身の署名と、証明として押印します。
注意点:
- 明確な表現を用いる: 誤解を招かないよう、遺言の内容は明確に表現することが重要です。
- 遺留分を理解する: 法定相続人の遺留分を侵害しないように注意が必要です。
- 保管方法を考える: 信頼できる人に預ける、または公正証書遺言として公証役場に保管するなど、安全な保管方法を考慮しましょう。法務局では「自筆証書遺言書保管制度」というものがあり、活用を検討してみましょう。
まとめ
自筆証書遺言は、その手軽さから多くの方に利用されていますが、適切な書き方と保管が求められます。遺言の無効を避け、意思が正しく伝わるようにするためにも、上記のポイントをしっかりと押さえた上で、自筆証書遺言を作成しましょう。不安な点があれば、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家に相談することも一つの手です。
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