遺留分とは?〜大切な人の権利を守るために〜

相続・遺言

先日、私の事務所に、相続の遺留分について相談したいという女性が訪問してきました。

私の夫が最近遺言を書いたのだけど、内容が極端で「全財産をすべて海外にいる甥に譲る」というようなことが書いてあるの。

私や子供たちが何十年も夫に尽くしてきたのにこれじゃあ・・・

先生
先生

奥さんとしては納得できませんよね。

「遺留分侵害請求権」というものがあるので、今日はその解説をしますね

 遺産相続について考える時、遺留分という言葉を聞いたことはありますか?遺留分とは、亡くなった人(被相続人)の財産に対して、一定の近親者が最低限受け取れるべき財産の割合のことを指します。この制度は、家族という最も身近な人々の経済的な基盤を守るために重要な役割を果たしています。

なぜ遺留分が必要なのでしょうか?

 想像してみてください。ある家族がいて、親が亡くなりました。しかし遺言により全財産が遠い親戚に渡るとしたら、残された配偶者や子どもたちはどうなるでしょうか。彼らは突然、経済的な支えを失うことになります。遺留分の制度は、このような不意の事態から家族を守るための安全網の役割を果たすのです。

遺留分の対象者とは?

 遺留分の権利を持つのは、被相続人の配偶者、子ども、被相続人の親(子どもがいない場合)です。これらの人々を「遺留分権利者」と呼びます。

遺留分の割合はどのくらい?

  • 子どもがいる場合:法定相続分の1/2
  • 配偶者がいる場合:法定相続分の1/2
  • 親がいる場合(子どもがいない場合):法定相続分の1/3

これはあくまで基本の割合であり、実際にはもっと複雑な計算が必要になることもあります。

遺留分侵害額請求とは?

 もし遺言などによって遺留分権利者の受け取るべき遺産が全く受け取れなかったりしてしまった場合、遺留分権利者は「遺留分侵害額請求」という手続きをとることができます。これは、不足分を請求することで、遺留分を確保するための手段です。

遺留分の放棄はできる?

 遺留分は放棄することが可能です。これは遺留分権利者が自由意志で決定できますが、一度放棄すると取り消すことはできませんので、慎重な判断が必要です。

まとめ

 遺留分は複雑に感じるかもしれませんが、実は私たちの身近な権利の一つです。大切な家族の経済的な安全を守るために存在しています。相続が発生した際には、遺留分について正しく理解し、適切な手続きを取ることが大切です。

 

 遺言で特定の相続人に対して多くの遺産を遺す場合や、相続人の一部を除外する意向がある場合には、その理由を遺言に記載することが推奨されます。これにより、遺言の意図が明確になり、相続人間での誤解や紛争の可能性を減らすことができるでしょう。

 遺留分に関するトラブルを避けるための一文を加える例としては、以下のような表現が考えられます。


 私は、皆が円満に遺産を分け合い、相続に関するトラブルが生じないことを望んでいます。そのために、遺留分の権利を尊重し、相続人各自が公平に扱われるよう遺言を作成しています。


 このような文章を遺言に含めることで、遺言を作成する際の意図と相続人の理解を促すことができるでしょう。ただし、遺言の内容や遺留分に関する具体的な取り決めは、専門家のアドバイスを受けながら慎重に行う必要がありますので、行政書士や弁護士などの専門家にご相談されることをお勧めします。

 相続に関するさまざまな疑問や手続きについては、専門の行政書士にご相談ください。一人ひとりの状況に合わせた丁寧なアドバイスを提供いたします。

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