先日、お父様を最近亡くされた女性が、遺産のことについて事務所へ相談にやってきました。
父が最近亡くなったのだけど、遺言書もないしどうやって遺産を分けていいのか・・・
兄弟は3人いて、遺産そのものも少ないので揉めることはないとおもうんだけど・・・
先生
わかりました。
ではのちのちのトラブルになっては大変なので「遺産分割協議書」を作りましょう。
遺産分割協議書とは?
大切な人を失った悲しみにくれる中、残された遺産をどう分けるかは、遺族間の争いの火種にもなりかねません。そこで重要になるのが「遺産分割協議書」です。この文書は、故人の遺産を遺族間でどのように分割するかの合意を形にした大切な書類です。
遺産分割協議書が必要な理由
日本の法律では、相続人全員の合意がなければ遺産分割を行うことができません。協議書はこの合意を文書化し、後々のトラブルを防ぐためにあります。例えば、口約束だけで分割した場合、後になって「約束と違う」という意見が出たり、税務上の問題が起こったりすることがあります。協議書があれば、そうした問題を未然に防ぐことが可能です。
遺産分割協議書の作成手順
- 相続人の確定: 最初に、故人の相続人が誰であるかを確定します。戸籍謄本などの公的な書類を集め、法定相続人を明確にしましょう。
- 遺産の調査: 次に、不動産や預金、株式など、故人が残した遺産の全体像を把握します。
- 協議: 相続人全員で集まり、遺産をどのように分けるか話し合います。この時点で話し合いが難航することもありますが、行政書士などの専門家に相談するとスムーズに進むことが多いです。※行政書士は、紛争性のある協議については介入できません。紛争性のある協議については専門の弁護士を紹介いたします。
- 協議書の作成: 合意に至った内容を基に、遺産分割協議書を作成します。この書類には、分割の内容だけでなく、相続人の氏名や印鑑などが必要です。
- 登記等の手続き: 不動産が遺産に含まれる場合は、協議書に基づいて不動産登記の手続きを行います。※行政書士は登記手続きはできません。専門の司法書士を紹介いたします。
遺産分割協議書の注意点
- 公正証書: 遺産分割協議書は自筆で作成することも可能ですが、公正証書として作成することをお勧めします。これにより、法的な効力をより強固なものにできます。
- 専門家の活用: 複雑な遺産の分割には、行政書士や弁護士、司法書士など専門家の知識が必要です。トラブル回避のためにも、専門家に相談しましょう。
- 納税の問題: 遺産分割には相続税の問題も関わってきます。税金の負担が公平になるよう配慮する必要があります。
最後に、遺産分割は感情的になりがちですが、公平かつ合理的な合意を目指しましょう。遺産分割協議書があれば、故人の意思を尊重しつつ、残された家族が円満に暮らしていくための大切な一歩となります。
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